アロマ × サイエンス
服につけるだけ。たった1か月。
最新の脳科学研究が見つけた、香りの意外な可能性をご紹介します。
「アロマって、なんとなくリラックスできる気がするけれど、実際のところどうなの?」
そう感じている方も多いのではないでしょうか。
日常の中でふんわりと香りに包まれる時間は、どこかほっとするもの。でもそれが”気のせい”なのか、”体や心に何かが起きているのか”、気になりますよね。
今回は、京都大学などの研究チームが2024年に発表した研究をもとに、「継続的な香りの吸入と脳の変化」について、やさしく読み解いていきます。
「服に香りをつけて過ごす」だけの実験

この研究は、41〜69歳の健康な女性50名を対象に行われました。特別な機器も、難しい操作も必要ありません。参加者にお願いしたのは、「ローズの精油(0.5%希釈)を1日2回、アロマシールに1〜3滴たらして服につけて過ごす」というシンプルなことだけ。
それを1か月続けてもらい、前後の脳のようすをMRI(磁気共鳴画像法)で撮影・比較しました。
研究ハイライト
京都大学ほか研究チームによる介入試験(2024年発表)
出典:Kokubun K, Nemoto K, Yamakawa Y. “Continuous inhalation of essential oil increases gray matter volume.” Brain Research Bulletin, Vol.208, 2024. / ITmedia NEWS(2026年5月28日)でも紹介された研究です。
香りをつけていたグループに起きたこと

1か月後のMRI比較で、ローズの香りをまとっていたグループにのみ、ある変化が確認されました。
それは、脳の「灰白質(グレーマター)の量」が増えていたこと。特に増加が見られたのが、脳の「後帯状皮質(PCC)」と呼ばれる領域です。
後帯状皮質(PCC)は、記憶と香りの結びつきや、においの記憶を呼び起こす働きに関わるとされている脳の場所です。
この領域は、アルツハイマー型認知症が進行するにあたって早い段階から縮小が見られることが、これまでの研究で知られています。今回の研究では、服に香りをつけて過ごすというシンプルな習慣が、この部位の体積を増やす可能性を示しました。
また、脳全体の灰白質量も、香りをまとったグループで有意に増加していました。これは今回の研究で初めて明らかになった発見です。
💡 灰白質(グレーマター)ってなに?
脳の神経細胞が密集している部分のこと。思考・記憶・感情の処理など、さまざまな脳の働きに関わっています。加齢とともに自然に減少しますが、適切な刺激や生活習慣によって変化することが近年の脳科学研究でわかってきています。
なぜ香りが脳に響くのか
香りの情報は、視覚や聴覚とは異なり、記憶や感情と深く関わる脳の中枢「大脳辺縁系」へとダイレクトに届くといわれています。
毎日くり返し届く香りの信号は、脳の中でじっくりと時間をかけて処理されているのかもしれません。今回の研究はまさに「継続的な吸入」に注目した点が新しく、日常的に香りと共に過ごすことの可能性を示しています。
研究チームは、継続的なローズの香りによって脳が活発に記憶関連の処理を行い、それが後帯状皮質の変化につながったのではないかと考察しています。
毎日に、そっと取り入れるには

研究のプロトコルは非常にシンプルなものでした。だからこそ「今日からでもできる」と感じていただける方も多いのではないでしょうか。
朝の支度のついでに
出かける前に洋服の内側やスカーフに1〜2滴。着替えと同時に香りをまとう習慣は続けやすくておすすめ。直接肌につけるのは避け、必ず布や専用シールへ。
濃すぎず、ふんわりと
研究では0.5%という低濃度の希釈が使われています。「自分だけに届く、かすかな香り」を意識してみてください。周囲が気になる場面でも安心です。
「好きな香り」であることが大切
研究でも「ローズの香りが嫌いな方は対象外」とされていました。まず自分が心地よいと感じることがスタート。ローズが苦手な方は、別の香りを探してみましょう。
香りを「習慣」にする、という発想
この研究が私たちに教えてくれるのは、特別な時間をつくらなくても、日常のなかに香りを溶け込ませることに意味があるかもしれない、ということ。
アロマは「スペシャルなリラックスタイム」のためだけのものではなく、毎日の暮らしにそっと寄り添うものでもあります。
どんな香りが自分に合っているか、どんなふうに取り入れるのが心地よいか——そのヒントを一緒に探しませんか。
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【ご注意】本記事で紹介している研究は、学術的な知見としてお伝えするものです。記事内の香りに関する情報は特定の疾患の予防・治療・改善を目的とするものではなく、商品はすべて一般雑貨品(芳香用途)としてのご使用を前提としています。体調に不安のある方は、医療機関にご相談のうえご利用ください。精油は直接肌につけず、適切な希釈・使用法をお守りください。



