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もう大丈夫なはずなのに、しんどい。地震のあとの心と体と、香りとの付き合い方

もう大丈夫なはずなのに、しんどい。地震のあとの心と体と、香りとの付き合い方

明るい窓辺に置かれた精油瓶とラベンダーなどの草花
もくじ

揺れはおさまった。ニュースも落ち着いてきた。周りの人も、いつもの生活に戻っている。

それなのに、気持ちがしんどい。

夜、小さな音で目が覚める。何もしていないのに、ふっと動悸がする。片づけをしていたら急に涙が出てきて、自分でも驚いた。誰かに話すほどのことでもない気がして、そのままにしている。

「もう大丈夫なはずなのに」と思っている方に、この記事を書いています。

大丈夫なはずなのにしんどい、というのは、おかしなことではありません。むしろ、災害のあとによく知られている反応です。

この記事では、そうした反応について整理したうえで、香りを「治療」ではなく「呼吸や感覚を落ち着けるための、補助的な選択肢のひとつ」としてどう扱えるかをお伝えします。

精油の選び方、防災バッグへの入れ方、避難所での配慮まで、できるだけ具体的にまとめました。

この記事で分かること

  • 地震のあとに起こる、心と体の反応
  • 今、道具がなくてもできること
  • 香りと不安について、研究で分かっていること・分かっていないこと
  • 香りを選ぶときに、必ず知っておいてほしい注意
  • 災害時に取り入れやすい精油と、その選び方
  • 火も電気も使わない、現実的な香りの使い方
  • 避難所、子ども、ペットへの配慮

なお、地震から1か月以上たっても不安が続く場合については、続編で詳しくお伝えしています。

地震のあとに起こる、心と体の反応

内閣府「被災者のこころのケア 都道府県対応ガイドライン」では、災害を経験したあとに心のバランスを崩すことは、異常な事態に対する正常な反応であるとされています。

この一文は、少し立ち止まって読む価値があります。おかしくなったのではなく、おかしな状況に対して、体が正常に反応しているという意味だからです。

体に出る反応

  • 動悸がする、心拍が速くなる
  • 呼吸が浅くなる、息が詰まる感じがする
  • 眠りが浅い、寝つけない、途中で目が覚める
  • 肩や首がずっと張っている
  • 食欲が落ちる、または増える
  • 疲れているのに休まらない

気持ちや感覚に出る反応

  • 小さな音や揺れに、以前より敏感になる
  • 理由もなく涙が出る
  • いらいらしやすい、家族にきつく当たってしまう
  • 集中できない、物忘れが増える
  • ぼんやりして、現実感が薄い
  • 地震のニュースを何度も見てしまう
  • 逆に、地震の話題を避けたくなる

「落ち着いてから」出てくることもあります

ここが、多くの方が戸惑う部分かもしれません。

災害直後は、目の前のことに対応するのに精一杯で、感情が動かないことがあります。片づけ、連絡、手続き。やるべきことがあるあいだは、なんとか動けてしまう。

しんどさが出てくるのは、少し落ち着いてからということが珍しくありません。

内閣府のガイドラインでも、災害後の心理状態は時間とともに変化していくことが示されています。直後の混乱が収まり、一見元気に見える時期を経て、生活のストレスが蓄積していく段階があります。

ですから、「今ごろになって」と感じる必要はありません。今ごろになるのは、よくあることです。

そして、被害の大きさと、しんどさの大きさは比例しません。家が無事でも、直接の被害がなくても、しんどくなることはあります。「もっと大変な人がいるのに」と自分を責める必要はありません。

今、道具がなくてもできること

香りの話に入る前に、何も持っていなくてもできることをお伝えします。

吸うより、吐く

強い不安を感じているとき、呼吸は浅く速くなりがちです。

このとき、無理に大きく息を吸おうとすると、かえって苦しくなることがあります。吸うことより、ゆっくり吐くことを意識してみてください。

「深呼吸しなきゃ」と力むより、息を細く長く吐くほうが楽なことがあります。吐ききれば、吸うのは自然にできます。

WHOなどが開発した心理的応急処置(PFA/サイコロジカル・ファーストエイド)でも、呼吸を整えることが、苦痛を和らげる基本的な関わりとして位置づけられています。

感覚を「今、ここ」に戻す

ぼんやりする、現実感が薄い、頭が真っ白になる。そんなときは、五感を使って今いる場所に意識を戻す方法があります。

  • 足の裏が床に触れている感覚を確かめる
  • 今見えているものを、色や形で数えてみる(部屋の中の四角いものを5つ、など)
  • 手のひらで、机や壁の温度や質感を確かめる
  • 近くの音を、ひとつずつ聞き分けてみる
  • 温かい飲み物を少量飲み、手のひらで温度を感じる

どれも派手な効果はありません。ただ、「今、ここは大丈夫」という情報を、体に届け直す作業だと考えてください。

情報を見続けない

地震の映像や情報を繰り返し見ることは、不安を強めることがあります。

必要な情報を一度確認したら、いったんスマートフォンから離れてください。「見ておかないと不安」という感覚自体が、反応のひとつであることもあります。

香りを使う場合も、こうした方法の延長線上にある「感覚を戻すきっかけ」として考えると、位置づけが分かりやすくなります。

トラウマとなる出来事を体験した人の多くは、何らかのストレス反応を生じますが、その多くは自然に回復していきます。

ただし、この記事では、あなたの状態に病名をつけることはできません。「パニックになった」「強い不安を感じた」という日常的な言い方と、医師が診断する「パニック症」「急性ストレス症」などは別のものです。診断は、必ず医療機関で行われる必要があります。

1か月以上たっても症状が続く場合の目安については、続編で詳しくお伝えしています。

香りは、どのように役立つ可能性がある?

明るい室内で香りを鼻から少し離して確かめる女性

嗅覚と、記憶や感情のつながり

においの情報は、記憶や感情に関わる脳の領域と近い経路を通ることが知られています。特定の香りを嗅いだときに、昔の場面がふっと思い出されるのは、この経路と関係していると考えられています。

災害後の不安な状況で、いつもの生活で使っていた香りに触れることが、日常の感覚を思い出すきっかけになる場合があります。

また、香りを嗅ごうとするとき、人は自然とゆっくり息を吸って吐きます。「香りを確かめる」という行為そのものが、呼吸に意識を向ける合図として働くことも考えられます。

研究で分かっていること

不安と芳香吸入については、複数の臨床研究があります。

真正ラベンダーについては、2000年から2018年に発表された22件のランダム化比較試験を対象としたメタ分析があり、不安やその生理的な指標に対して好ましい影響がある可能性が示されています。2023年に発表された吸入に絞ったシステマティックレビューでも、11件・972人を対象とした研究のうち10件で不安の低下が報告されています。

ベルガモットについては、日帰り手術を待つ患者109人を対象としたランダム化比較試験で、水蒸気を用いた対照群より術前の不安が低下したという報告があります。

研究で分かっていないこと

一方で、これらの結果をそのまま「災害時にも同じように役立つ」と読み替えることはできません。

ラベンダーに関する65件のRCTを対象とした系統的レビューでは、含まれた研究の約89%がバイアスリスクが高いと評価されており、全体としてエビデンスの質は低いと報告されています。

また、次のような点はまだ明確になっていません。

  • 災害直後の強い不安に対して、香りがどう働くか(この条件での研究はほとんどない)
  • どの精油が、どの場面に適しているか
  • どのくらいの量・時間が適切か
  • 香り自体の影響と、「休む時間をとった」「誰かが付き添った」という影響を、どこまで分けられるか
  • 香りはうまく隠せないため、研究の盲検化が難しいこと

つまり、香りは医療的な支援に代わるものではなく、効果には個人差があります。研究では一定の可能性が示されている、という範囲で受け取ってください。

香りを選ぶ前に、必ず知っておいてほしいこと

精油の話に入る前に、逆方向のリスクをお伝えします。ここを飛ばさないでください。

においは、つらい記憶の引き金にもなります

強い感情を伴う体験と結びついたにおいの記憶は、非常に強く刻み込まれることが知られています。においは、他の感覚よりも感情と密接に結びついているとされ、記憶を呼び起こす強力な手がかりになります。

これは、よい方向にも、つらい方向にも働きます。

PTSDの研究では、トラウマに関連するにおいが、外傷的な記憶を呼び起こす引き金になることが症例として報告されています。一見トラウマと無関係に見えるにおいが、強い感情を伴う記憶を引き出してしまうこともあるとされています。

だから「新しい香り」より「いつもの香り」

ここから、実践上のとても重要な指針が導かれます。

地震の直後、その場で初めて出会う香りを強く嗅ぐことは、慎重に考えたほうがよいかもしれません。その香り自体が、あとから地震の記憶と結びついてしまう可能性があるためです。

この点は、防災の準備を大きく左右します。

災害後に初めて使う香りより、平時から日常的に使ってきた香りのほうが安全です。すでに日常の記憶と結びついている香りであれば、災害の記憶に上書きされにくく、「いつもの感覚」を思い出す手がかりとしても働きやすくなります。

つまり、「防災用に新しい精油を買う」より「今使っている香りを、防災バッグにも用意しておく」ほうが理にかなっています。

これは、精油選びの考え方そのものを変える視点かもしれません。防災を意識して香りを選ぶのではなく、日常で心地よいと感じる香りを見つけておくことが、そのまま備えになるということです。

こんなときは、すぐに使用をやめてください

香りを嗅いだときに、次のような反応が出たら、ただちに中止して換気してください。

  • 動悸が強くなる、呼吸が速くなる
  • 涙が出る、体が震える
  • 地震のときの場面が、はっきりよみがえる
  • 気分が悪くなる、頭痛がする
  • その香りから逃げたい、と感じる

「落ち着くはずの香りなのに」と我慢して続ける必要はありません。その反応自体が、使わないほうがよいという答えです。

災害時に取り入れやすい精油と、その選び方

ラベンダーや柑橘、樹脂とともに並べた複数の精油瓶

「不安にはこの精油」という正解はありません。もっとも大切な基準は、あなた自身がその香りを心地よいと感じるかどうか、そしてつらい記憶と結びついていないかどうかです。

そのうえで、災害という状況を考えると、選ぶときの視点がいくつかあります。

災害時の精油に求められる4つの条件

  1. すでに慣れ親しんでいること。前述のとおり、これが最優先の条件です
  2. 香りが強すぎないこと。周囲に人がいる状況では、拡散しにくい香りのほうが扱いやすくなります
  3. 安全性の情報が明確なこと。光毒性や皮膚刺激について、情報が整理されている精油を選びます
  4. 保管に強いこと。防災バッグは高温になることもあり、酸化しやすい精油は劣化が早まります

真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)

  • 香りの特徴:草のような青さと、やわらかい甘さが同居する香り。フローラルというより、ハーブに近い印象を持つ方も多い精油です
  • 研究で示唆されていること:不安に関する臨床研究がもっとも多く蓄積されている精油のひとつ。ただし研究の質には課題があります
  • 向いている場面:夜、過ごし方を切り替えたいとき。就寝前の環境を整える合図として
  • 注意点:「ラベンダー」という名前でも、スパイクラベンダーやラバンジンは成分も香りも異なります。学名(Lavandula angustifolia)を確認してください。また、実際に嗅ぐと苦手だと感じる方も少なくない香りです
  • 保管:比較的安定していますが、高温は避けてください

オレンジ・スイート(Citrus sinensis)

  • 香りの特徴:みかんに近い、明るく親しみやすい香り。精油に慣れていない方でも受け入れやすい傾向があります
  • 研究で示唆されていること:柑橘系の芳香吸入と不安に関する報告がいくつかありますが、規模は小さめです
  • 向いている場面:香りに慣れていない方。朝、気持ちを切り替えたいとき。子どもがいる空間(ごく少量で)
  • 注意点:光毒性は低いとされますが、皮膚に使う場合は製品ごとの表示を確認してください
  • 保管酸化しやすい精油です。開封後は半年から1年を目安に使い切り、防災バッグに入れる場合は定期的な入れ替えが必要です

ベルガモット(Citrus bergamia)

  • 香りの特徴:紅茶のアールグレイでおなじみの香り。柑橘の明るさに、わずかな苦みと落ち着きが加わります
  • 研究で示唆されていること:術前の不安を対象としたランダム化比較試験があります
  • 向いている場面:柑橘の明るさと、静けさを両方求めたいとき
  • 注意点圧搾法のベルガモットには光毒性があります。肌についた状態で紫外線を浴びると、炎症や色素沈着が起こる可能性があります。皮膚に触れる可能性がある使い方をするなら、フロクマリンフリー(FCF、ベルガプテンフリー)の表示があるものを選んでください
  • 保管:柑橘系のため酸化しやすく、定期的な入れ替えが必要です

フランキンセンス(Boswellia carterii など)

  • 香りの特徴:樹脂から採れる、静かで奥行きのある香り。甘さは控えめで、少しスパイシーさを感じる方もいます
  • 研究で示唆されていること:不安に特化した大規模な臨床研究は、ラベンダーほど多くありません
  • 向いている場面:甘い香りや柑橘が苦手な方。深く息を吐きたいとき
  • 注意点:好みがはっきり分かれる香りです。必ず実際に試してから選んでください
  • 保管:比較的安定しています

和精油(ユズ、ヒノキ、クロモジなど)

  • 香りの特徴:日本人にとってなじみのある香り。ユズは柑橘の明るさ、ヒノキやクロモジは木の落ち着いた印象があります
  • 研究で示唆されていること:海外の精油に比べ、臨床研究の蓄積は限られます
  • 向いている場面日常の感覚を思い出すきっかけとして。慣れた香りであることは、この記事の文脈では大きな利点です
  • 注意点:ユズも柑橘系のため、皮膚に使う場合は光毒性の有無を製品ごとに確認してください
  • 保管:柑橘系(ユズ)は酸化しやすく、木部系(ヒノキ)は比較的安定しています

ブレンドについて

複数の精油を組み合わせることもできますが、災害への備えとしては、単一の精油から始めるほうが扱いやすいかもしれません。

理由は3つあります。合わないと感じたときに原因が特定しやすいこと、周囲に説明しやすいこと、そして香りが複雑になるほど印象が強くなり、拡散したときに気づかれやすくなることです。

慣れてきたら、ご自身の心地よさに合わせて組み合わせを試してみてください。

選ぶときは、必ず実際に嗅ぐ

精油の名前や説明文だけでは、実際の香りは分かりません。同じ植物名でも、産地、収穫時期、蒸留方法、メーカーによって印象が変わります。

特に今回のように「いざというときのために」選ぶ場合、説明を読んで買うのではなく、実際に嗅いで選ぶことが重要です。緊急時に開けてみて「思っていた香りと違う」では、備えになりません。

災害時に、安全に香りを使う方法

ティッシュ、密閉袋に入れたハンカチ、個人用吸入スティックを使う方法

災害時は、火や電気を使わず、周囲に香りを広げすぎない方法を選びます。

ティッシュやコットンに1滴

ティッシュやコットンに精油を1滴だけ含ませ、鼻から少し離した位置で、香りが強すぎない距離を保ちながら、数回ゆっくり息を吐きます。

精油を鼻の中や皮膚に直接つけないでください。精油は非常に濃縮されており、原液が粘膜や皮膚に触れると刺激になります。

使い終わったら、密閉できる袋に入れて処理します。

香りをつけたハンカチを、事前に用意しておく

災害時に精油瓶を開けようとすると、手が震えていたり、暗かったり、足元にガラス片があったりする状況も考えられます。

そこで、あらかじめ自宅でハンカチにごく少量の香りをつけ、密閉袋に入れて防災バッグに入れておく方法があります。

精油瓶を直接持ち歩く場合と比べると、次の違いがあります。

  • 瓶の破損や液漏れのリスクを避けられる
  • 暗い場所や動揺しているときでも、開けて嗅ぐだけで済む
  • 子どもやペットが誤って口にする危険を減らせる
  • 一方で、香りは時間とともに弱くなるため、定期的な入れ替えが必要

入れ替えの目安は、防災バッグの点検と同じタイミングにしておくと忘れにくくなります。年に1〜2回、備蓄品の賞味期限を確認するときに一緒に交換してください。

精油瓶を防災バッグに入れる場合

瓶ごと持っていく場合は、次の対策をしてください。

  • 小さめの容量(5mL程度)にとどめる
  • チャック付きの袋に入れ、さらに緩衝材で包む
  • ドロッパー(中栓)がしっかりはまっているか確認する
  • 横倒しになっても漏れにくいよう、立てた状態で固定する
  • 高温になる場所に長期間置かない

災害時に避けたほうがよい使い方

  • 火を使うアロマポット、キャンドル(余震による転倒、火災のリスク)
  • ディフューザーによる空間への拡散(周囲への影響、電力の問題)
  • スプレーの空間噴霧(同上)
  • 精油の原液を肌に塗ること
  • 精油を飲むこと、うがいに使うこと

なお、日本小児科学会や国民生活センターは、乳幼児が芳香剤の液を誤飲する事故を報告しています。誤飲した場合は吐かせずに、飲んだものと量を確認したうえで、かかりつけ医、救急安心センター(#7119)、子ども医療電話相談(#8000)などに相談してください。

避難所や、家族と過ごす場所での注意

家族と過ごすリビングで個人用の香りを静かに確かめる日本人女性

避難所では、原則として香りを広げない

避難所や共同生活の場では、香りを空間に拡散させないことを原則としてください。

  • ディフューザーを使わない
  • スプレーを空間に噴霧しない
  • 香り付き製品を、他の人に無断で使わない
  • 使用する場合は、個人用のティッシュや、香りをつけたハンカチに限定する
  • 使ったあとは密閉袋に戻す

「香りも、人によっては刺激になる」という前提で

消費者庁・文部科学省・厚生労働省・経済産業省・環境省の5省庁は、香りの感じ方には個人差があり、自分にとって快適な香りでも困っている人がいることを周知するポスターを公表しています。

避難所には、次のような方がいる可能性があります。

  • 喘息や呼吸器の持病がある方
  • 化学物質過敏症の方
  • 妊娠中の方
  • 乳幼児、高齢者
  • においに敏感になっている方(体調不良や、災害そのものの影響で)
  • 同行しているペット

共同空間では、その場を離れられない人がいることを前提に考えてください。

子どもが怖がっているとき

子どもが怖がっている場合、精油を嗅がせることを第一の選択にしないでください。

まず有効なのは、次のような関わりです。

  • 大人が落ち着いた声で、ゆっくり話す
  • 抱きしめる、手を握る
  • 今いる場所が安全かどうかを、短い言葉で伝える
  • 一緒に、ゆっくり息を吐く
  • 好きな毛布やぬいぐるみを渡す
  • 災害の映像を繰り返し見せない

子どもへの精油の使用は、年齢、体調、既往歴によって安全性が異なります。一律の使用方法をお伝えすることはできません。判断に迷う場合は、使わない選択で構いません。

ペットがいる場合

猫や鳥がいる空間で、香りを拡散させることはおすすめできません。

猫は、多くの動物が持つグルクロン酸抱合という解毒経路の働きが弱く、精油成分を代謝しにくいことが知られています。空気中の成分を吸い込んだり、毛についた成分をグルーミングで口にしたりする可能性もあります。鳥は呼吸器が非常に敏感です。

  • ペットがいる部屋では、香りを拡散させない
  • 使う場合は換気を十分に行い、ペットが自由に別の場所へ移動できるようにする
  • 精油をペットの体に塗ったり、飲ませたりしない
  • 異変があれば、すぐに動物病院へ相談する

香りが、しっくりこない日もあります

窓辺で温かい飲み物とともに静かに休む様子

精油を用意していても、使う気になれない日があります。香りが強く感じられる日、何のにおいも受けつけない日。

そういう日は、使わなくてかまいません。

この記事の前半でお伝えした呼吸とグラウンディングは、道具がなくてもできます。足の裏の感覚を確かめる、見えるものを数える、息を長く吐く、温かい飲み物を手で包む。香りはこれらの選択肢のひとつであって、必須のものではありません。

体を締めつけているものをゆるめる、という単純なことも助けになります。

なお、つらい体験を無理に語る必要はありません。この点は誤解されやすいため、続編で詳しくお伝えしています。

医療機関や相談窓口につながったほうがよい目安

明るい室内で電話相談を利用する女性

すぐに救急対応を検討したほうがよい場合

次のような症状があるときは、香りで様子を見ないでください。

  • 胸の痛みが続く
  • 強い息苦しさがある
  • 意識が遠のく、失神した
  • 片側の手足に力が入らない、ろれつが回らない
  • 自分や家族を傷つける考えが浮かんでいる

ためらわず救急要請(119番)や、救急安心センター事業(#7119)にご相談ください。#7119は実施されていない地域もあります。

継続的な相談を検討したほうがよい場合

緊急ではないものの、強い不安が長く続く、眠れない日が続く、日常生活に支障が出ているといった場合は、一人で抱えずに相談してください。

相談先の例として、厚生労働省のこころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)があります。電話をかけた地域の公的な相談機関につながります。対応の曜日・時間は都道府県によって異なります。

厚生労働省「まもろうよ こころ」のサイトでは、電話のほかLINEやチャットの相談窓口も案内されています。お住まいの自治体の保健所や精神保健福祉センターも、相談先になります。

災害時には、臨時の相談窓口が設置されることもあります。最新の情報は、自治体の公式サイトでご確認ください。

症状が1か月以上続く場合の考え方については、続編でお伝えしています。

まとめ

  • 落ち着いてからしんどくなるのは、よくあることです。被害の大きさと、しんどさの大きさは比例しません
  • 災害後の反応は、異常な事態に対する正常な反応です。多くの場合、自然に回復します
  • 道具がなくても、息を長く吐く・感覚を今に戻すことはできます
  • 香りは、つらい記憶の引き金にもなります。災害後に初めて出会う香りより、平時から使ってきた香りのほうが安全です
  • だからこそ、日常で心地よいと感じる香りを見つけておくことが、そのまま備えになります
  • 使うときは、少量を、個人の範囲で。火も電気も使わない方法を選んでください
  • 避難所では、香りを空間に広げないでください
  • 猫や鳥のいる空間では、香りを拡散させないでください
  • 香りを使わない方法も、十分に役立ちます
  • つらさが続くときは、一人で抱え込まないでください

アロマリからのご案内

アロマリでは、体調や病気を診断することはしていません。今の自分が心地よいと感じる香りを、一緒に探しています。

この記事でお伝えしたとおり、防災を意識して選ぶというより、日常で心地よいと感じる香りを見つけておくことが、結果的に備えになります。

店舗では、精油を一滴ずつ実際に試していただけます。説明を読んだだけでは分からない香りの違いを、ご自身の感覚で確かめてください。「香りを使ったほうがいいのか分からない」というご相談でも構いません。使わない、という結論になることもあります。

無料相談から、お気軽にお問い合わせください。

参考文献・情報源

(すべて2026年7月28日閲覧)

本記事は、特定の精油の効能や治療効果を保証するものではありません。ご紹介している製品はすべて一般雑貨品(芳香用途)としてのご使用を前提としています。体調に不安のある方、治療中・服薬中の方は、医療機関にご相談のうえご利用ください。